マネー関連

ふるさと納税とは?キホンの仕組みと利用する前に考えてほしいこと

全国の自治体に寄付をすることで返礼品がもらえる「ふるさと納税」。すっかり定着し人気を集めていますが、どのような仕組みになっているのか今一度確認してみましょう。

ふるさと納税のキホン

  1. 応援したい自治体に寄付をすると、お礼の品として特産品などをもらうことができる制度
  2. 年度の区切りは1月1日~12月31日
  3. 寄付金は所得税の還付・住民税の控除が受けられる
  4. ③を受けるための手続きをすると最終的な実質自己負担額は2,000円のみ
  5. 手続きとしては、基本は確定申告
  6. 1年間の寄付先が5自治体以内であれば、ワンストップ特例制度を申し込むことで確定申告不要となる
  7. 控除上限額は人によって違うが、ふるさと納税の申し込みサイトなどでシミュレーションして確認することができる
  8. 税制のメリットを享受できるのは寄付した年の翌年

ふるさと納税は節税になるの?

これはよくある勘違いなのですが、結論から申し上げるとふるさと納税は節税にはなりません。「納税」と謳われていますが実際には「寄付」扱いで、寄付金控除として所得税還付、住民税控除がなされるため税制メリットを享受することができるという仕組みです。

この制度を利用することで、結果的に寄付金額から2,000円を引いた額が控除分として翌年に戻ってくるのですが、これは前年に税金を前払いしてもらったから、今年支払ってもらうはずだった住民税からその分を引いておくね、というイメージになります。

確定申告をした場合は一部が所得税の還付金として、残りが住民税から引かれる形で戻ってきます。ワンストップ特例制度の申し込みをしている場合には、全額が自動的に住民税から引かれます。

ワンストップ特例から確定申告に切り替えたらどうなるの?

医療費控除の申告が必要になったり、寄付先の自治体数が増えたりなどして、途中で確定申告に切り替える必要が出てくることもあるかと思います。この場合は、ワンストップ特例制度の申請をおこなっていても確定申告をおこなって問題ありません。

ただし、確定申告をおこなうとその年のワンストップ特例制度への申請すべてが無効となるので、医療費がかさむと思っていなかった頃の寄付はワンストップ特例を申請していた。なんて場合にはご注意ください。ワンストップ特例制度の申請をおこなって寄付した分も含めて、確定申告をおこないましょう。

ふるさと納税を利用するときに注意することは?

還付や控除より出費が先であることに注意!

所得税還付や住民税控除のメリットを実際に受けるのは翌年になります。つまり、確かに納税額上限までであれば実質2,000円で素敵な返礼品をいろいろいただけるお得な制度ではあるものの、出費が先に来るので、その軍資金は自分で用意しなければなりません。無理な寄付はしないように注意しましょう。

現金が返ってくるわけではないことに注意!

寄付金控除のメリットを享受して戻ってくるお金に関しては、現金が振り込まれるわけではありません。一部は還付されますが、大半は翌年の住民税額が減ることで恩恵を受けます。

これは、分かりきっているはずのことですが、あとで資金を回収しようと思いながらふるさと納税をはじめるような場合には意外と要注意です。というのは住民税は前年の収入に基づき計算されるため、毎年変わります。本来ふるさと納税分として毎月5,000円ずつ回収していきたいと思っていたのに住民税自体が上がっていて、5,000円回収してしまったら計算上より赤字になってしまう・・・。なんてこともあるからです。

決済するクレジットカードの名義人に注意!

ふるさと納税は寄付金控除を受ける人=決済する人でなければいけません。

そのため、配偶者の名前で寄付を申し込み、配偶者の口座から引落としがなされる自分名義の家族カードで決済をする場合は問題とはなりませんが、自分の名前で寄付をし、配偶者名義のクレジットカードで決済してしまうと、寄付金控除が受けられませんのでご注意ください。

ふるさと納税を利用する際は、寄付申込者=寄付控除を受ける人=支払者=クレジットカードの名義人としておくことが一番です。

ふるさと納税の本来の目的について考えてみよう

気に入った返礼品をもらえる自治体に寄付をする。という感覚で利用している人が多いと思いますが、もともとは「都会に暮らす人々が生まれ故郷の自治体を応援するにはどうしたらよいのか?」と考えたことからはじまりました。ふるさとや被災地を応援する、それが本来の目的です。

この点に注目してふるさと納税を考えると、本来の利用目的とかけ離れた加熱気味な実態に少しモヤッとした思いがわき上がるのも事実です。自分の居住地以外の自治体に寄付をするということは、自分の居住地の市区町村の税金が失われるということとイコールでもあるからです。上限いっぱい他の自治体に寄付することで、本来もっとも応援すべき先のひとつである自分の居住地の自治体が年々貧乏になっているかもしれない・・・。

ときに、現在住んでいる町の税収額を調べてみたり、自治サービスの充実度や希望、将来性などを考えてみたりしながら、ふるさと納税について少し考えてみる時間を持ってみてもいいのではないでしょうか。

一方で、最初は返礼品目当てなだけだったけれど、ふるさと納税をして返礼品をもらったことにより、その自治体に愛着が湧いたり対応の良さから好きになったり、はたまた興味を持って調べてみたり・・・ということも往々にしてあります。それは、各自治体が目指しているところでもあるでしょうし、そこからはじまる応援の形も素敵だと思います。

どんな結論でもいいと思います。ただ、何も考えずに人気だから。お得だから。と利用するのではなく、制度を調べ、考え、自分なりのポリシーを持って利用することが大切なのではないかと感じています。

こちらの記事もおすすめ
テーブルタグ