NISAは始めているけれど、iDeCoはなんだか手数料がかかるとか、60歳まで引き出せないとか、メリットも聞くけどデメリットもちらほら耳するから分からなくてそのまま保留に・・・。という方意外と多いのではないでしょうか?
そこで、今回はiDeCoをはじめる前に知っておいてほしい4箇条と活用方法をわかりやすく解説します。
iDeCoのキホン
- 個人型確定拠出年金ともいい、ざっくりいうならば「個人で運用する年金」である
- 自分で設定した金額を毎月掛け金として拠出し、継続的に積立投資を行う
- 掛け金は途中で変更できるものの、毎年1月~12月の間で年に1回のみ
- 掛け金は全額所得から控除できるので、所得税と住民税が節税できる
- 運用益が非課税
- 元本保証はない
- 転職や退職をしても、運用中の資産は持ち運ぶことができる
- 「年金」と「一時金」2つの受け取り方法が選べ(併給も可能)、どちらも税金面での優遇がある
これだけは知っておくべき4箇条
その1.手数料にはとことんこだわるべし
NISA口座と違い、iDeCoでは運用するにも給付を受けるにも3つの機関に対しさまざまな手数料が掛かってきます。そのうち、実際の窓口となる金融機関(口座を開設した金融機関)に支払う手数料だけは、金融機関によってそれぞれ異なります。そしてそれこそが長期運用していく上では大きな大きな差となってきますので、まずは口座管理手数料を「無料」としている金融機関を選ぶことが大切です。
そのうえで、どうしても掛かってきてしまう手数料が次の通りとなります。
国民年金基金連合会 | 事務委託先金融機関 | |
加入時/移管時 一時的な手数料 | 2,829円 | ー |
積み立て運用時の口座管理手数料 | 105円(収納1回あたり) | 66円(月額) |
掛け金を拠出しないで運用する間の口座管理手数料 | ー | 66円(月額) |
年金等を受け取る際の手数料 | ー | 440円(1回につき) |
拠出しすぎ等により還付を受ける際の手数料 | 1,048円(1回につき) | 440円(1回につき) |
つまり、積み立て運用をしている間は、最低でも年間2,052円がかかります。(2021年2月現在)もちろん、手数料が掛かったとしても拠出金全額を所得控除できるため、メリットの方が大きいです。でも、できることならそのメリット、最大限に恩恵を受けたいですよね。
そこで、もう一歩踏み込んで手数料を節約するためには「信託報酬率」の低さにもこだわるべきです。
iDeCoの資料を取り寄せると運用商品一覧が載ったパンフレットも同封されてきます。似たり寄ったりなファンドで迷ったら迷わず信託報酬率の低い方を選択!ただし、信託報酬率の低さだけを見て選ぶのは危険なので、投資目的に合ったファンドであるかどうか確認しましょう。なお、魅力的なんだけどちょっと信託報酬率が高いなぁ。というような捨てきれないファンドがあった場合にはNISAで運用してみるのもひとつです。
なお、私はいろいろと迷ったあげく、複数のファンドに分散するのもそれだけ信託報酬がかかってしまうので、NISAで外国株式を中心に運用をしていることもあり、iDeCoでは株に力を入れているバランス型のもの1択としました。「○資産均等型」を避けた理由としては、バランス型は分散投資としてはおすすめなものの、その分運用成績もとても高いわけではないので、バランス型を選択しつつ少し攻めた。というところです。
その2.60歳まで引き出せないので無理な運用は避けるべし
iDeCoのデメリットとしてよく語られるのが、60歳まで引き出せないというところ。年金的位置づけと考えれば納得ですが、やはり何が起こるかわからないこのご時世、いざというときにまとまったお金として引き出せないことは十分に理解して始めるべきです。
また、iDeCoは途中で拠出金の変更ができると謳っていますが、フレキシブルに変えられるわけではなく変更は1月~12月までの間で年に1回限りです。そして、0円にすることはできず、最低掛け金は5,000円となっていることも要注意。毎月口座管理手数料が掛かってくることを考えると、運用商品次第では掛け金を下げればそれだけ利益も出づらくなり、損する可能性も高くなります。ですから、困ったときは拠出金を下げればいい。と安易に考えるのは危険だと考えます。
まだNISAも始めていないという方であれば、いつでも積立をやめることも引き出すことも可能なNISAからはじめてみることをまずはおすすめします。
その3.掛け金は無駄にならない!安心して運用すべし
iDecoというと、60歳以降(厳密には加入期間によって60~65歳まで受け取り可能な年齢は異なる。)に受け取りが可能な将来の年金の積み増しというイメージが強いですが、なにも受け取れるのは年金(老齢給付金)としてだけではないんです。
加入者本人が、70歳になる前に高度障害になった場合、60歳前であっても「障害給付金」を受け取ることができます。老齢給付金同様に、年金としても一時金としても、またその併給も可能で、受け取り時は非課税となります。
また、加入者本人が死亡してしまった場合には、こちらも60歳前であっても遺族が請求することによって一時金として受け取ることができます。その際は相続税の対象となりますが、法定相続人1人あたり500万円までは非課税です。公的年金は、加入者が死亡しても受給要件を満たさない限り既に支払った年金保険料が戻ることはありませんが、iDeCoの場合は個人資産扱いなので、運用期間の長短にかかわらず遺族が全額を受け取れるのです。
あまり注目されていませんが、「拠出金合計額+運用益」をいざというときには遺族に残すことができるのもiDeCoの魅力のひとつだといえるでしょう。
その4.家計に余裕があれば専業主婦(夫)でもiDeCoに加入すべし
当たり前ですが、もともと所得税を支払っていない年収103万円未満の専業主婦(夫)では拠出時の所得控除のメリットを受けることはできません。ですから、もし所得税を支払っている配偶者がまだiDeCoに加入していないのであれば、そちらをまずは優先すべきでしょう。しかし、既に最大限メリットを享受したうえでさらに拠出の余裕があるのであれば、それは加入すべきです。
なぜなら、収入のない専業主婦(夫)の掛け金(最大23,000円)を収入のある配偶者が肩代わりしている確率が高いことは明白です。それなのにわざわざ平成29年1月改正によって専業主婦(夫)を追加したということは、月々の掛け金は贈与とはみなさないということでしょう。つまり、贈与税や相続税の対象とならずに資産を移せる手段にもなるのです。その上、運用益や給付金受け取り時の税制優遇はそのまま受けることができますからやはりメリットは大きいと考えられます。
おわりに
iDeCoは手数料がかかってきますし、一般的には60歳以降まで引き出すこともできません。そのため、できる限り拠出限度額に近い金額で、長期間継続して拠出し続けられるかどうか。しっかりと検討してからはじめることをお勧めします。一方で、いざというときには遺族にお金を残すこともできますし、何歳まで生きれば元が取れるか?なんてことを考える必要はないので、やはり資産形成面からのメリットは大きいと考えます。こんなはずじゃなかった…。と後悔することのないように、きちんと理解してからはじめましょう!